リノベーションされたカウナスの杉原記念館 - 歴史と現代をつなぐ象徴となる場

1/30/20251 分読む

カウナスの貴重な歴史遺産である杉原記念館が、著名な英国人アーティスト、ジェニー・カーガンのプロデュースのもと、1月16日に改装を終え再び開館しました。この記念館は、第二次世界大戦中に何千人ものユダヤ人の命を救った日本の外交官・杉原千畝と、オランダ名誉領事のヤン・ズヴァルテンダイクの英雄的な行動の意義を改めて考える機会を提供します。

今回の展示の改装は、2022年の「カウナス - 欧州文化首都」において”Out of the darkness”展で高い評価を得たジェニー・カーガンが手掛けました。彼女の創造力あふれるアプローチと、来館者が直接触れられる仕様と没入感のある要素が、戦争難民の運命やリトアニア、世界の歴史を探求する機会を提供し、まさに運命の決断が下された部屋そのものを体験することができます。「この展示は単なる歴史や事実の紹介にとどまらず、現代にも通じる課題について問題提起をし、この繊細なテーマについて来館者が考える発端になれば嬉しいです。」とカーガンは語ります。展示は春に向けてさらに展示を拡充・発展していく予定です。

新たな技術的要素として、操作に応じて反応するLEDスクリーン、音声と語り部で臨場感のある本、独自の音声ガイドが導入され、来館者が歴史の物語をより深く体感できるようになっています。また、文書や遺品、ビジュアル資料を通じて、リトアニアのユダヤ人のみならず、ポーランドやオランダからの難民の物語も紹介されています。

これらの新しい展示は、名誉あるゲストやスポンサー、パートナー、支援者を招き披露されました。杉原「命の外交官」財団の創設者であり理事長であるラムーナス・ガルバラヴィチウスは、彼と仲間たちが数十年前に設立したこの記念館が、今回大きくリニューアルされながらも依然として理想主義、パートナーシップ、支援という理念のもとに築かれ続けていることを誇りに思うと述べ、また、「今日、歴史が現代社会の脆弱性を浮き彫りにする中、記憶と行動の継続性は極めて重要です。杉原氏とズワルテンダイク氏の崇高な功績が刻まれたこの特別な場所で、志を同じくする人々と共に、この重要な使命を次世代へと受け継いでいけることを嬉しく思います。さらに、もしこの世に奇跡があるとすれば、それは技術や制度によるものではなく、人の心と人間の本質にこそあると信じています」と語りました。

この披露会には日本の尾崎哲駐リトアニア大使、オランダのジャック・トゥイス・クアールス・ヴァン・ウフォルト大使、英国のエリザベス・ボイルズ大使、イスラエルのハダス・ウィッテンベルク・シルバースタイン大使、元文化大臣のシモナス・カイリス氏、カウナスのビジネス界の代表者など、多くの要人が出席しました。

杉原「命の外交官」財団の株主であり、記念館の維持を支援する「タンジブル・キャピタル基金」の創設者であるサウリウス・ガルバラヴィチウスは、ジェニー・カーガンのアイデアを実現するために貢献したパートナーやスポンサーに深く感謝の意を表し、「杉原記念館の改装を通じて、勇敢な外交官たちの英雄的な行為と戦間期のカウナスの精神を称えるだけでなく、未来の世代のために強固な道徳的基盤を築いていきます。」と述べました。

この展示は、杉原氏とズワルテンダイク氏の功績を際立たせるだけでなく、リトアニアのソ連化や、戦間期に3万人以上の戦争難民を受け入れたカウナスの独自の人道的役割も取り上げています。また、リトアニアでユダヤ人を救った他の外交官たちについても紹介されています。杉原「命の外交官」財団の理事であり、記念館の改装を監修したユルギタ・ガルバラヴィチエネは、「これらは単なる歴史の展示物ではなく、現代社会における勇気と人道主義の重要性を改めて考えるきっかけになるでしょう」と言及しました。

杉原記念館の展示改装プロジェクトは、多くのパートナーの財政支援によって実現しました。オランダ、ドイツ、アメリカ、イギリス、スウェーデンの各国大使館、リトアニア文化評議会、リトアニア共和国外務省、アメリカ遺産海外委員会、カウナスのビジネスコミュニティなどから協賛を受けました。「すべてのパートナーの支援は、この記念館の意義深い使命に大きく寄与しています」とガルバラヴィチエネは感謝の意を表しました。